体には傷を治そうとする生理的な作用があります。このことを「創傷治癒」と呼びます。癒着も創傷治癒の一部であり、手術をしても傷が治るのは、傷口が「癒着」するためです。
しかし、治っていく過程で本当はくっついて欲しくない組織同士がくっつくことがあり、一般にはこれを「癒着」と呼んでいます。
ほとんどの人は、癒着を起こしても具体的な症状として現れず、治療を必要としないのですが、一方で、痛みなどの症状を伴い、早急な治療を必要とする人もいます。
例えば、子宮筋腫核出術(しきゅうきんしゅかくしゅつじゅつ)の場合、子宮にできた良性のコブ(筋腫)を切除します。すなわち、子宮を切開して筋腫核をくりぬいたのち縫合しますが、その子宮の縫合部分(腹膜部分)が、その周りの膀胱や卵巣・卵管、小腸などの臓器や組織にくっついてしまうことがあります。これを「術後癒着」と呼び、不妊症や、腹痛、腸閉塞の原因となることがあります。
お腹をあける手術では、90%以上の確率で癒着ができるといわれています。癒着というと悪者のように受け取られますが、そもそも癒着ができるからこそ手術の傷が治るのです。 |