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科研製薬を知る/「世界初」を生む自社創薬力

バイオ医薬品のフィブラストスプレー

ひどいやけどや寝たきりのお年寄りの床ずれなど、完治するのが困難とされていた深い皮膚の傷を治し、医療関係者や患者さんの間で“魔法の水”と呼ばれている「フィブラストスプレー」は、2001年6月に発売されました。これは世界で初めて塩基性線維芽細胞成長因子「ヒトbFGF」を使用した再生医療医薬品としても高い注目を集めています。

「ヒトbFGF」は、人間の体内に微量に存在するタンパク質で、栄養や酸素を運ぶために重要な血管を新たに作り、皮膚を構成するさまざまな細胞に作用して、傷ついた組織を修復させる働きを持ちます。やけどや床ずれは表皮やその内側にある皮下組織が壊れ、場合によっては、骨までが体の表面に現れてしまうことがありますが、これまでは、血管を拡張させる薬や殺菌効果のある薬を塗るしかなく、血管が成長して皮下組織が増殖し、治癒するまでには何年もかかるケースもありました。

それに対して、フィブラストスプレーは1日1回噴霧するだけで、早期に新しい血管が生まれ、同時に皮下組織の細胞も増殖し、数週間で完治するケースが何例も報告されています。

開発の道のりは決して平坦ではありませんでした。元々は米国のベンチャー企業、カルフォルニア・バイオテクノロジー社(現サイオス社)がヒトbFGFの遺伝子を発見し、大腸菌に組み換えて大量製造する技術を開発、科研製薬にパートナーとしての提携を求めてきたところから始まりました。

ヒトbFGFはタンパク質であるために温度管理が難しく、また全く新しい領域であるため、評価のための実験モデルの新規設定が必要など、数々の困難がありました。しかし、研究開発の努力の結果、フィブラストスプレーは再生医療医薬品としての道を拓いていきました。

フィブラスト開発経緯
1974年 Gospodarowicz(ゴスポダロビッツ)らがウシ脳下垂体から線維芽細胞の増殖を著しく促進するタンパク質を発見。FGF(線維芽細胞成長因子)と命名。
1984年 Bohlen(ボーエン)らはFGFには酸性及び塩基性側に等電点の異なる2つのタンパク質、酸性型FGFであるaFGF(acidic FGF)と塩基性型FGFであるbFGF(basic FGF)が存在することを明らかにした。
1985年 Esch(イッシュ)らがウシ脳下垂体のbFGFの全アミノ酸配列を解明。
1986年 カルフォルニア・バイオテクノロジー社のAbraham(エイブラハム)らが、ヒトbFGF遺伝子の全DNA配列を解明。
1988年 カルフォルニア・バイオテクノロジー社との間でライセンス契約を交わし、日本及びアジア諸国での開発製造販売権を取得。
2001年 製造承認取得、販売開始。
2005年 全世界における開発製造販売権を取得。

抗真菌剤開発の歴史

戦後、科研製薬が製薬会社として最初に手がけたのは、当時輸入に頼っていたペニシリンの生産でした。

そして次に手がけたのは、当時の死亡率1位だった結核の治療剤のストレプトマイシンです。

抗真菌剤の研究開発は、科研製薬が創業当時から伝統的に取り組んでいる領域で、歴史は古く1952年にさかのぼります。『動物は水虫にかからない』という従来の定説を覆し、モルモットによる動物白癬の治療実験法を確立。1952年末、優れた抗真菌活性のある化合物を発見。1953年3月には「アスレタン」の製品名で発売しました。

メンタックスその後も改良を重ねいくつかの製品を開発。そして、従来の化学構造の異なる塩酸ブテナフィンを成分とする世界初のベンジルアミン骨格をもった抗真菌剤「メンタックス」を1991年に発売します。この開発により、1994年には「大河内記念生産賞」を受賞。また科研製薬の本格的な海外戦略品として、アジア、欧米各国の企業に技術導出し、現在も販売されています。さらに、2004年には、スイッチOTC*薬スイッチOTC薬:すでに承認・販売されている医療用医薬品のうち、副作用が少なく、安全性の高いものを一般用医薬品(OTC)として転用(スイッチ)した薬としても、いくつかのメーカーより発売開始。これら国内の塩酸ブテナフィン製剤の原体供給は、すべて科研製薬で行っているのです。

また現在は、科研製薬が創製した世界初のトリアゾール系化合物の外用剤を爪真菌症治療剤として開発中です。

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