
製薬業界について
医薬品のカテゴリーや医薬品に関する専門用語など、製薬業界を志望する上で
知っておくべき基礎知識について、簡単にご案内します。
医薬品といっても、種類は様々。
医薬品は「医療用医薬品」と「一般用(OTC)医薬品」の2つに分類されます。医師の処方箋にもとづいて薬剤師が調剤し、渡される医薬品が「医療用医薬品」。薬局やドラッグストアなどにおいて、処方箋なしで購入できる医薬品が「一般用医薬品」です。国内市場の売上規模では、医療用医薬品が圧倒的なシェアを占めています。
また、医療用医薬品には「新薬(先発医薬品)」と「ジェネリック医薬品(後発医薬品)」があり、長い研究開発期間をかけて、新しい成分を含む医薬品として発売されるのが「新薬」です。新薬は発売後も一定の期間(再審査期間)、有効性・安全性について確認することが義務付けられています。新薬の再審査期間と特許権存続期間の両方が満了すると、新薬と同じ有効成分を含む医薬品を、他の製薬会社が「ジェネリック医薬品」として製造・販売することができます。
医療用医薬品
医師の処方箋にもとづいて調剤される医薬品。広告に関しては厳しい規制がある。
一般用医薬品
薬局やドラッグストアなどで処方箋なしに購入できる医薬品。医療用医薬品ほど厳しい広告規制はない。
新薬
新しい成分を含む医薬品。開発した製薬会社が、独占して販売 できる期間が定められている。
ジェネリック医薬品
新薬の独占販売期間が過ぎた後は、他の製薬会社も同じ有効成分を 含む医薬品を発売できる。
医薬品の価格は、国が決める。
医薬品の価格である「薬価」は、厚生労働省によって決められています。その価格の決め方は、2つ。同じ疾患に対して似たような効果をもつ類似薬がすでにある場合は、その薬価が基準となり、類似薬がない場合は原材料費、販売費、研究開発費、流通経費などをもとに決定されます。
発売後も薬価は、改定が行われており、薬価改定の度に値段が引き下げられているのが現状です。医薬品が安くなることは使う人にとっては嬉しいものの、製薬会社にとっては新薬を創出するための力が損なわれることにつながります。そのため、日本の新薬開発力を維持するためにも、適切な価格設定が望ましいといえます。
様々な人を介して、
医薬品は患者さんの手へ。
医療用医薬品を手掛ける製薬会社は、平均して9年から16年の期間をかけて新薬を世に送り出しています。開発にかかる費用は、なんと数百億円以上。約22,000個のクスリの種からたった1つ生まれる新薬は、まさに努力の結晶と言えます。そうして生まれたクスリは製薬会社から医薬品卸売販売会社を介して、医療機関や薬局に提供され、医師の処方のもとに患者さんの手に渡ります。
就職活動中、一度は耳にするかもしれない。製薬業界 専門用語集。
これから製薬業界を志望する皆さんに、ぜひ知っておいてほしい専門用語をまとめました。
説明会や面接前に、ぜひチェックしてください。
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TERM-1
QOL
Quality of Life(クオリティ・オブ・ライフ)の略。「生活の質・生命の質」と訳され、新薬の開発によって、患者さんの日常生活での苦痛を減らし、生活・生命の質の向上に貢献することが製薬会社の使命。
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TERM-2
アンメットメディカルニーズ
いまだ有効な治療方法がない医療ニーズのことで、患者さんや医療現場から治療薬の開発が求められている。科研製薬では、将来のアンメットメディカルニーズを満たす新薬開発に取り組んでいる。
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TERM-3
育薬
新薬の発売後、製薬企業が医療機関や患者さんの協力のもと、継続して新薬に関する情報収集を行い、より使いやすく有用性の高い医薬品へと育て上げていく活動のこと。
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TERM-4
パイプライン(開発パイプライン)
研究開始から承認・発売にいたるまでの新薬候補のこと。科研製薬では、パイプライン拡充のため、自社創薬と並行して国内外の製薬企業や研究機関との共同研究なども積極的に行っている。
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TERM-5
CMC
原薬・製剤の、Chemistry(化学)・Manufacturing(製造)・Control(品質管理)の情報のことをいう。広義には、原薬プロセス研究と製剤開発研究、品質評価研究を統合した概念で、これらに関する仕事全般を指す。
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TERM-6
AI創薬
医薬品開発にAI(人工知能)を用いた創薬手法。科研製薬も、クスリの種となる化合物の活性などをAIが予測する創薬ツール「Elix Discovery」を採用し、新しい手法の新薬開発に挑戦している。
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TERM-7
再生医療
生体を構成する組織や、細胞に本来備わっている再生能力・治癒力を治療に積極的に利用した治療法。従来では十分な効果が望めなかった病気やけがを治癒に導く治療法として期待されている。
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TERM-8
ドラッグ・リポジショニング
既存薬の新しい効能を発見し、別の病気の治療薬として開発を行う手法。一から開発するよりも低リスク・低コストで、迅速な臨床応用が可能となり、今後の新薬開発の手段として注目されている。
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TERM-9
スイッチOTC医薬品
医療用医薬品として有効性・安全性が確立され、一般用(OTC)医薬品へ転用されたクスリのこと。一方、医療用医薬品を経ずに、OTC医薬品になったものを「ダイレクトOTC医薬品」という。
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TERM-10
抗体医薬品
抗体とは、異物が体内に入った際に攻撃・排除するために産生されるタンパク質のことで、抗体医薬品はこの仕組みを利用した医薬品。がんや自己免疫疾患など、様々な病気に使われている。
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TERM-11
ジェネリック医薬品(後発医薬品)
新薬(先発医薬品)の特許期間が過ぎた後、新薬と同じ有効成分を含んだクスリとして、他の製薬会社から製造・販売される医薬品。開発コストを抑えられるため、新薬より安価なのが特徴。
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TERM-12
オーソライズドジェネリック
先発医薬品を製造販売する企業から許諾を受け、同一の原薬・添加物・製造方法等で製造されるジェネリック医薬品。特許が切れる前に製造可能なため、他のジェネリック医薬品より早く発売できる。
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TERM-13
バイオシミラー(バイオ後続品)
バイオ医薬品は、バイオテクノロジーを利用して製造されるクスリのこと。先行バイオ医薬品と同等・同質の品質、安全性、有効性を有し、他の企業により開発されるクスリをバイオシミラーという。
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TERM-14
オーファン・ドラッグ(希少疾病用医薬品)
患者数が少なく治療法も確立されていない病気に使うクスリ。患者数5万人未満などの基準を満たすと指定され、優先して承認審査が行われるなどの措置が受けられる。