仕事紹介

数年から十数年をかけてつくられる医薬品が、どのような過程を経て患者さんのもとへ届くのか。また、そのプロセスではどういった職種が活躍しているのかを紹介します。

医薬品

膨大な時間と費用をかけてつくられる医薬品。およそ22,000分の1の成功率といわれるその過程を、患者さんのもとに医薬品が届くまでのプロセスとともに解説します。

PROCESS
1

基礎研究

新薬の創出は、クスリの種を見つけ出すことから始まります。新薬の候補となる化合物を見つけ、性状や化学構造などについて研究。クスリの種となるリード化合物を探索していきます。科研製薬では京都と静岡にある新薬創生センターで、基礎研究が行われます。

PROCESS
2

非臨床試験

見つけ出したクスリの種を育てるために、新薬候補物質に対して動物や培養細胞を用いて試験を行い、その有効性と安全性を確認します。また生体内における物質の吸収・分布・代謝・排泄の過程や、品質と安定性についても調べます。

【 関係する社外の組織・機関 】

国内外ベンチャー企業・アカデミア・CRO

創薬確率を高めるために、科研製薬では自社だけでなく、国内外のベンチャー企業や研究機関と協業して研究活動を実施。現在は、国内外の様々なベンチャー企業やCROとともに、研究開発をしています。

PROCESS
3

臨床試験

育てたクスリの種がヒトに対して安全かどうか、また有効かどうかを試験する段階です。臨床試験(治験)は自社単独で行うこともあれば、国内外の様々な企業と共同で行うこともあります。新薬を国から承認してもらうために必要な各種データを収集していきます。

【 関係する社外の組織・機関 】

医療機関・CRO・SMO

CROは、医薬品の研究開発に関わる業務を受託する外部機関のこと。科研製薬では、モニタリングなどの業務をCROに委託したり、医療機関のサポートを行うSMOなどの外部機関と連携したりして効率的に治験を実施しています。

PROCESS
4

承認申請

クスリはヒトに対しての有効性と安全性が認められたとしても、国から承認を得なければ販売できません。厚生労働省に申請を行い、半年から1年の期間をかけて厳格に審査され、医薬品として承認されると製造・販売が可能となります。

【 関係する社外の組織・機関 】

厚生労働省・PMDA

PMDAとは独立行政法人医薬品医療機器総合機構のことで、医薬品の開発や品質、有効性や安全性について、治験前から市販後までを一貫して助言・指導・審査する機関です。医薬品を販売するためにはPMDAの審査、厚生労働大臣の承認が必要となります。また薬価については厚生労働省と交渉します。

PROCESS
5

製造

最先端の設備のもと、クスリをつくります。工場で製造管理・品質管理を徹底し、安全・安心な医薬品を製造。また完成したクスリは、その品質に問題がないかを厳しく評価します。科研製薬では静岡にある工場にて、医薬品を製造しています。

【 関係する社外の組織・機関 】

国内外の製造会社

科研製薬では、自社で原薬から製品までを製造する医薬品もありますが、他社に製造の一部またはすべてを委託している医薬品もあります。他社に委託する場合も、その体制を管理・監督しながら製造を進めています。

PROCESS
6

販売

完成したクスリは、製薬会社から医薬品卸売販売会社を経由して医療機関へ納品されます。そして、医師が処方箋を出し、薬剤師がその処方箋をもとに調剤することで患者さんの手に渡ります。クスリを適正に使用していただくために、MR(医薬情報担当者)が医師や薬剤師などの医療関係者へ適切な医薬品情報を提供しています。

【 関係する社外の組織・機関 】

医療機関・医薬品卸売販売会社

製薬会社から医薬品を仕入れ、全国の医療機関に販売する企業のことを医薬品卸売販売会社と言います。医薬品を必要な時に必要な量、必要な場所へ正確かつ迅速に供給しています。

PROCESS
7

製造販売後調査

クスリは発売して終わりではありません。発売後も継続的に、有害事象等の安全管理情報を収集・評価することが義務付けられています。これらの情報は主にMRが収集し、医薬品のさらなる適正使用を推進していきます。

【 関係する社外の組織・機関 】

医療機関・厚生労働省・PMDA

医薬品が適正・安全に使用されるよう、クリニックや病院、薬局をMRが訪問し、疾患や医薬品に関する適正使用情報を提供します。また、医薬品を使用した患者さんに副作用等が起きた場合は、その情報を収集します。集積した安全管理情報をもとに、厚生労働省やPMDAと安全対策を検討します。

医師を通して患者さんへ

職種紹

ひとつのクスリをつくり、世の中へ届けるまでの過程には、様々な職種がかかわっています。それぞれの職種がどういった役割を果たすのか。その仕事内容について紹介します。

研究職(新薬創生センター)

クスリの種を見つけ出し、その有効性や安全性を確かめるのが研究職(新薬創生センター)。病気に対して有効だと思われる化合物を探し出し、動物や培養細胞を用いて試験を行います。結果をもとに化合物を改良し、再び評価するという作業を繰り返すことで、新薬候補となる物質を絞り込みます。また、目的の化合物を取得するための評価系を構築したり、特許出願や治験に必要なデータを取得したりすることも重要な仕事です。

研究職(CMCセンター)

新薬創生センターからつないできたクスリの種を、医薬品として形にするのが研究職(CMCセンター)の役割。患者さんが飲みやすく、医療関係者が扱いやすくするために、新薬候補化合物に添加する成分、形、サイズや容器などを検討します。また、高品質の医薬品を安定して効率良く生産する方法を研究したり、品質を担保するための分析方法を確立したりと、その仕事は多岐にわたります。

臨床開発職

臨床開発職のミッションは、創薬研究によって創出された化合物がヒトに対して安全か、効果を発揮するかを確かめることです。そのために、倫理的・科学的に治験が行われるよう計画を立案し、医療機関の協力を得て実施。モニタリングなどによって信頼性の高い臨床データを取得します。その後、得られたデータを解析してまとめ、製造販売の承認申請に必要な資料を作成し、医薬品として申請します。

薬制部門職

クスリを患者さんに届けるためには、各種試験の結果を資料にまとめて申請し、PMDA(独立行政法人医薬品医療機器総合機構)による審査を受け、製造販売の承認を得る必要があります。その申請業務や承認の維持管理を担うのが薬制部門職です。また、医薬品の安全性情報を的確に評価し、PMDAへの報告や医療現場への適切な情報提供を行うファーマコビジランス活動、承認内容に沿った良質な医薬品を提供する品質保証なども行います。

生産部門職

生産部門職の仕事は、高品質な医薬品を安定して供給し、患者さんや医療関係者の期待に応えていくことです。そのため、医薬品の品質基準であるGMP(医薬品の製造管理及び品質管理の基準)に基づき、常に一定の品質が担保されているかを試験・評価しています。GMPは国によって異なるため、各国の基準に適合した品質管理をすることが必要不可欠。医薬品の品質と科研製薬のブランドを守るために、重要な役割を担います。

学術職

クスリの発売後、製品価値の周知と最大化を図る「育薬」を担うのが学術職です。製品ごとにプロモーション戦略を立案し、MR職と協力して医療関係者へ情報提供を行います。そのために、疾患啓発セミナーや講演会を企画・運営したり、パンフレットやWEBコンテンツを企画・作成したりします。また、月1回の勉強会にて、新しいツールの活用法や競合品の情報など、現場で役立つ情報の提供を通してMR職へ製品教育を行います。

MR職

MR職の役割は医師や看護師、薬剤師といった医療関係者に対して医薬品の適正使用に関する情報を提供・収集・伝達することです。そのために、担当する医療機関を定期的に訪問し、治療に関する医師の考えや処方状況、処方後の効果や安全性に関する情報などをヒアリング。ニーズを引き出し、そのニーズに即した情報を提供します。そうした活動を通して医療関係者と信頼関係を築き、科研製薬のクスリを普及させるのがMR職です。

特薬職

科研製薬の農薬・動物薬事業において、農薬や飼料添加物、動物薬の研究開発から販売までを一貫して行うのが特薬職です。農薬や動物薬などに有効な化合物を見つけ、その安全性や効果を様々な試験で評価。その後、国への登録申請を行い、製品を販売して世の中に普及させるところまで、あらゆる段階の役割を担います。海外展開も積極的に行っており、特薬職の仕事はグローバルでの食の安全・安心の確保に貢献しています。