TCFD提言に基づく情報開示

TCFD提言に基づく情報開示

TCFD

当社は、2023年2月に気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)※1提言への賛同を表明し、気候変動が事業にもたらすリスクや機会を分析したうえで、TCFDの提言に沿って、「ガバナンス」「戦略」「リスク・機会の管理」および「指標と目標」の4項目について、以下のとおり整理しました。

※1TCFD(Task Force on Climate-related Financial Disclosures)は金融安定理事会(FSB)が気候関連の情報開示および金融機関の対応をどのように行うかを検討するため、2015年に設立した気候関連財務情報開示タスクフォースです。

ガバナンス

当社では、サステナビリティ経営を推進するため、経営企画部担当取締役を委員長とする「サステナビリティ委員会」を設置しました。サステナビリティ委員会は、原則1年に2回開催し、気候変動問題を含む当社の重要課題(マテリアリティ)の抽出および整理を行うとともに、課題解決に向けた具体的な取り組みの審議・検討を行います。サステナビリティ委員会にて選定された重要課題は、取締役会で審議・特定され、取締役会はその進捗などについて監督しています。また、サステナビリティ委員会の下部組織として環境部会を設置し、気候変動を含む環境関連の重要課題に関する専門的な検討を行い、その経過・結果を委員会に報告する体制を整えています。

戦略

当社は、日本製薬団体連合会(日薬連)が策定した「低炭素社会実行計画」に参加しており、日薬連の掲げた長期ビジョン「2050年CO2排出量ネットゼロ」を目指すとともに、当社が設定した「2030年度CO2排出量を2016年度比で51%削減する 」という目標に向けて、CO2排出量削減に取り組んでいます。
当社のCO2排出量削減目標年度である2030年度および、日薬連の掲げる「CO2排出量ネットゼロ」の達成目標年である2050年を対象に、脱炭素に向けてより野心的な気候変動対策の実施が想定される「1.5℃シナリオ(一部2℃シナリオも併用)」と、現状を上回る気候変動対策が行われず異常気象の激甚化が想定される「4℃シナリオ」を参考に、定性・定量の両面からリスクおよび機会の考察を行いました。

想定された主なリスク・機会と当社戦略

(注)「短期」は0~1年、「中期」は1~5年、「長期」は5~30年と定義しています。また、「想定される財務的な影響」は、「大」を当社グループ事業および財務への影響が大きくなることが想定される、「小」を当社グループ事業および財務への影響がやや大きくなることが想定される、と定義しています。

※1治水経済調査マニュアル(国土交通省)に基づき、拠点ごとに災害による被害額を試算。被害情報(被害率や営業停止停滞日数)はハザードマップにて拠点ごとに特定

※2当社電力使用量および将来の電力価格・空調使用量増加率から試算(IEA WEO 2019およびIEA The Future of Coolingの値を参照)

※3当社電力使用量および将来の電力価格から試算(IEA WEO 2019の値を参照)

※4当社温室効果ガス排出量および将来の炭素税価格から試算 ( IEA WEO 2021の値を参照)

シナリオ分析の結果、両シナリオにおいて当社事業活動に大きな財務的影響を及ぼす気候関連リスクは想定されず、機会としては当社医薬品および農薬の需要が増加する可能性が示されました。当社は優れた医薬品の提供により、患者さんのクオリティ・オブ・ライフの向上につとめる製薬企業として、その社会的責任を認識し、今後も企業活動のあらゆる場面において地球環境の保全、維持向上に取り組んでいきます。

リスク・機会の管理

当社は企業理念の実現、経営計画を達成するうえで阻害要因となるリスクを適切に管理し、社会的責任を果たし、かつ持続可能な企業価値の向上に資することを目的として、リスクマネジメントに取り組んでいます。気候変動リスクについても持続的な成長のため対応すべき重要課題に関連するリスク項目の一つであると認識しており、企業活動のあらゆる場面において地球環境の保全、維持向上に努めています。
全社的なリスクマネジメントは「リスク管理委員会」で行っていますが、気候変動リスクについては、サステナビリティ委員会が中心となり、事業内容や経営計画、GRIスタンダード、ISO26000などを勘案して社会課題を抽出し、「科研製薬の事業との関連性」と「ステークホルダーへの影響度」の2軸から絞り込み、定性・定量の両面で評価を行っています。サステナビリティ委員会では、当社の企業活動が社会に与える影響、当社に与える財務的影響および発生可能性を踏まえて優先的に対応すべきリスク項目を絞り込み、定期的なモニタリングを行います。サステナビリティ経営における重要なリスク項目の対応状況は、サステナビリティ委員会が取締役会に報告し、取締役会がこれを監督します。

指標と目標

当社は、日薬連が策定した「低炭素社会実行計画」に参加しており、日薬連の掲げた長期ビジョン「2050年CO2排出量ネットゼロ」を目指すとともに、当社が設定した「2030年度CO2排出量を2016年度比で51%削減する」という目標に向けて、CO2排出量削減に取り組んでいます。
目標達成のため、エネルギー使用量の9割以上を占める静岡事業所および京都事業所では、高効率機器の導入を積極的に進め、継続的な省エネルギー活動を展開しています。
また、さらなる排出量削減に向け、2023年1月より静岡事業所で使用する電力の20%をCO2フリー電気へと変更しました。今後、CO2フリー電気の割合を段階的に引き上げていくことを予定しています。
本社および営業オフィスでは、蛍光灯からLED照明への切り替えや、空調設定温度の適正化を推進し、電気使用量の削減に取り組んでいます。

当社における温室効果ガス(GHG)排出量

区分 2016年 2021年 2030年
Scope1,2合計(t-CO2 31,856 21,870 15,609
内訳 Scope1(t-CO2 14,715 12,047 -
内訳 Scope2(t-CO2 17,141 9,823 -
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